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【書評】チャーチル・ファクター [読書]

真に偉大な人物とは、どのような人を言うのでしょうか。
チャーチルが偉人の一人であることは、疑いようのないことだと思います。

では、何が彼を偉大にしたのでしょうか。
言えることの一つは、チャーチルがすべての局面で偉大だったわけではないということです。
おそらく、平時の政治家としては、うるさ型の必ずしも有能とは言えない存在だったのではないでしょうか。

第二次世界大戦、イギリスにとってはヒトラーとの対峙という局面が彼を必要としたように思います。
そのような局面での彼の胆力。
それは幾分古めかしくはあっても、イギリス的価値観を守ること、ヒトラー的な価値観を絶対的な悪として拒絶すること、これを守り通すためにあらゆる手段を講じたことが彼を偉大な政治家として歴史に名を残したように思います。

同時期の偉人の一人で、ノルマンディ上陸作戦を指揮したアイゼンハワーには、陽気で付き合いやすいヤンキー的な外面の下にある底知れなさを感じますが、チャーチルは、よりチャーミングな人物像を感じます。

自分が同じような人間になれるわけではないのですが、困難にひるまず立ち向こうものにしか道は開けない。ということだけは真実として理解できます。

ちょっとした話題の政治家の著述であることも本書の面白さ。

ボリス・ジョンソン「チャーチル・ファクター」プレジデント社
定価 2300円+消費税

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【書評】ワーク・ルールズ! [読書]

日本の企業で元気だな。すごいなと思える会社はありますか?
私はあまり思い当りません。
ソフトバンクや楽天も以前ほどの勢いを感じません。どの程度成長しているのかはわかりませんがユーグレナなどは注目して良い企業なのかもしれません。

日本は豊かだ(もちろん豊かです)。日本企業は優れている(もちろん優れた点はたくさんあります)。
それが日本人の共通認識のようになっていますが、それはもはや幻想ではないか。
そう思い始めてます。

例えば、パソコン。以前なら国内メーカが第一候補でしたが、今はASUSやAcerなどの方がデザインもいいし、私自身に対する訴求力が高くなってます。
辛辣な言い方をすれば国内メーカは高いし、デザインも悪いし、さりとてスペックがそこまですごいわけではない。

グーグルと言うのは、パソコンでもスマホでも何かとお世話になる企業です。
世界的に見て元気のよい勢いのある企業の代表格です。
漏れ伝わってくる社風は、自由闊達でチャレンジ精神にあふれています。それだけでなく、社員食堂の食事を無料にするなど社員を大事にする。

いったいどのような企業なのか。
人事面から書かれたものが本書です。

簡単に言えば、グーグルが最高のパフォーマンスを効率的に発揮するために試行錯誤した内容が記載されています。ですので、最高の人材を集め、その人たちが長く活躍できる制度設計になっていると言えます。
パフォーマンスを定量化することや、必要なスキルの特定、優れた人材への報酬の考え方など、参考になることも多いのですが、前提が普通の企業からすると「超」がつく優秀な人材の集まりに対する組織論です。

残念ながら一般の企業へのあてはめには、工夫が必要そうです。

本書にある自分より優秀な人材を雇うというのは、いつか抜かされるという恐怖はあるでしょうが、当面は安心して仕事を任せられるというメリットも。
それだけでも十分価値があります。

ラズロ・ポック「ワーク・ルールズ!」東洋経済新報社
定価 1980円+消費税

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【書評】「トヨタ式」大全 [読書]

最近、いろいろな電気系メーカの方の話を聞く機会があり、少なからず失望をしていました。
世界と戦って勝ち抜くには、やはり少し胆力も含めて不足しているのではないか。

その過程で、トヨタの方の話を聞く機会がありました。
トヨタとはどのような会社で、世界に対して何をしなくてはならないのかが、しっかり突き詰められており、それに基づいて一つずつ布石を打っているのです。
同じ製造業とはいえ、さすが世界最強の企業のひとつと感心しました。

そんなこともあり、買ってみたのがこの本。

モノづくりもやはり突き詰めるのですね。
しかも鍛え方が結構厳しい。うちの若手だとこの厳しさについてこれるか。
いや。私自身、ここまで突き詰められるか。

また企業には、文化や物語が必要だと思いますが、この本を読むとトヨタに豊田家が必要な理由もわかります。

製造業に限らず、多くの企業人に参考になります。
自らの企業とは、その企業活動が生み出す価値とは、それをしっかり稼いだうえで実現するには、考えて動いて、また考えて動くの繰り返しがトヨタ式のようです。
そうして、稼ぐ企業こそが、雇用を守り、地域・国を守ることができます。

若松義人「「トヨタ式」大全」PHP文庫
定価 1100円+消費税

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【書評】稼ぐまちが地方を変える-誰も言わなかった10の鉄則- [読書]

地方の活性化というのは、大変に難しく。
成功しているといいながらも大概は失敗しているか、うまくはいっていないというところでしょうか。
本書は、実際に入り、自らもリスクを取りながら、地域で頑張ろうとしている人たちと共にビジネスをしている著者によるものです。

実際に、投資をして活動をしているだけに、お金にまつわる生々しい記述もあり、それだけに説得力もあります。補助金に頼るとろくなことがないという点にも大いに共感できます。
結局のところ商売は、創意工夫が必要だということに帰結してしまうのですが、このような活動が増えていってほしいと思います。

起業や少額の投資などを行いやすい仕組みも必要かもしれません。

ただ、本書にあることだけで、地域が活性化するかというと必ずしもそうではないでしょう。
地域が抱えている構造的な問題。土地利用や中心市街地の大きさなどの改善も一方で必要であるように思います。
この点は、本書の範囲外なので致し方のないことですが。

地域をどうこうしようなどと言う理念よりも、まずはしっかり稼ごう。
それが地域の活性化につながる。
単純な認識ですが、多くが忘れている認識だと思います。

木下斉「稼ぐまちが地方を変える(誰も言わなかった10の鉄則)」NHK出版新書
定価 740円+消費税

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【書評】 戦後経済史:野口悠紀雄 [読書]

私もそうですが多くの人が我が国の社会や経済が「敗戦」よって劇的に転換したと信じています。
もちろん世界にまれな前文と第9条を持つ憲法のインパクトは大きく、平和で民主的な国家像がそこで描出され、今の我が国の発展が昭和20年に始まったと考えてもおかしくはありません。

著者は、戦後経済の、特に高度経済成長が敗戦による転換とその後の社会経済情勢によってもたらされたのではなく、1940年の戦時国家総動員体制が維持された結果だとしています。
たしかに戦後経済をけん引した重工業のような垂直統合型の産業構造の成立はそのように考えた方が納得がいきます。これに保護的な金融・通商政策によって高度経済成長が実現し、我が国は未曽有の発展を遂げたということのようです。

そして今の我が国の長い停滞は、この1940年体制がすでに時代に合致しなくなっていることに起因すると。

言ってみれば我が国は過去の栄光、かつて成功した手法をもう一度を目指しているということになるのでしょう。アベノミクスのどことなく復古調な調子は、安倍首相の懐古主義から漂ってくるのではないということです。
そう考えるとオワコンの製造業を中心にした経済団体から現政権の経済政策が支持されるのもうなずけます。

白物家電やテレビなど、いくら高性能のものを作ってもそれとそう変わらない製品を安く作られれば勝ち目がないことなど自明です。
そのような産業を生かすには、よほどの工夫が必要ですし、それを国としてどうにかしようというのも間違っているのでしょう。それよりもむしろ公正にチャレンジできる環境が必要で、日本でしかできない産業の育成を考えた方が良いのだと思います。

多くのチャレンジャーがでて、生き生きとした社会を目指さなくては、予想以上に早く我が国は没落するかも知れません。

本書は著者の歩みに合わせた個人史的な側面も持っています。
今のそしてこれらからの日本を考える上で一読の価値を持つ本です。

野口悠紀雄「戦後経済史(私たちはどこで間違えたのか)」東洋経済新報社
定価 1600円+消費税


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【書評】 史上最大の決断:野中郁次郎 [読書]

リーダにはおそらくいろいろなタイプがあってよいのでしょう。
例えば、イノベーションを起こしたり、新しいものを生み出したりというような時には多少エキセントリックではあってもスティーブ・ジョブズのような人物の方が良いのかもしれません。

しかし戦争のように、今ある資源をどのように配分するのか、さらにつらい仕事にどのように意義を見出させるのかといった局面では、アイゼンハワーのように懐の深さや人の良さを感じさせる人物、なおかつ、政治力に優れ、表向きの人当たりの良さとは裏腹に、本心を見せないしたたかさが必要となるのでしょう。

リーダーシップ論として書かれた本書ですが、組織論としても読むことができます。
特にリーダーシップを発揮するための。

アイゼンハワーの「善」を保つために、冷徹に更迭等を行う「悪」を懐刀として配置することや、自分が本当に信頼できる人物を要所に配置することが、連合国軍という巨大で複雑な組織を動かすリーダーシップには必要であったことがわかります。
人事というのも単純な能力で配置するだけではだめという点は、個人的に大いに納得しました。

あとは優れたリーダーが選ばれる仕組みを組織がどのように持つかが知りたいところです。
当時の米軍は、優れたリーダーがリーダー候補を選抜し、育成する柔軟な組織となっていたことも幸いしたようです。
より官僚的な今の組織で、このような選抜・育成プロセスを持てるのかどうか。
そこは課題のように思います。

野中郁次郎「史上最大の決断(ノルマンディー上陸作戦を成功に導いた賢慮のリーダーシップ)」ダイヤモンド社
定価 2200円+消費税



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【書評】 60分で名著快読 クラウゼヴィッツ「戦争論」 [読書]

戦争というのは 人殺しであって賛成できるものではありません。
しかしながら、究極の競争という意味で 私のような企業人に参考になる点があります。

パワーゲームにどのように向き合うのか。
戦略と戦術の違いは何か。
目的と目標をしっかりと設定し達成時には攻撃から停戦に切り替えるのが得策で、調子が良いからと勢いに任せることで、相手に付け入るすきを与えるなど、企業間競争でも参考になります。

原著はかなり難解のようなので、私のようにまずはひととおり知りたい方向けです。

川村康之「60分で名著快読 クラウゼヴィッツ「戦争論」」日経ビジネス人文庫
定価 900円+消費税


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【書評】 大人の流儀:伊集院静 [読書]

移動の列車の雑誌だったか、著者のエッセイを目にする機会があり、その文章の品のようなものに惹かれていました。

そんなこともあり、本書を手に取りました。

筆名から全く想像がつきませんが、最後の無頼派と呼ばれる著者ですが、その文章からはそのようなことは全く感じません。酒を飲んでぐだぐだになったとか、ギャンブル好きだとかはありますが・・・。
十分無頼派ですね。

書名に「流儀」とあるとおりで、本書は伊集院静流の生き方を書いたものです。
基本になる考え方は、どちらかと言えば古臭く、目上を立てる「儒教的」な考えをもっているように思います。
また社会の理不尽も理不尽なりに受け入れて生きるべきだなど、独特の美意識も持ち合わせた人物です。

それらは一種の奥ゆかしさでもあり、嫌いではありません。
つらくともつらい顔をせず、背筋を伸ばすような生き方は憧れでもあります。

好き嫌いは別れそうな気もしますが、シリーズ累計で100万部を突破しているだけはあります。

伊集院静「大人の流儀」講談社
定価 933円+消費税

「続・大人の流儀」「別れる力 大人の流儀3」「許す力 大人の流儀4」も既刊


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【書評】 近藤先生「がんは放置」で本当にいいんですか?:近藤誠 [読書]

がんを「がんもどき」と「本当のがん」にわけて、治ったといって喜んでいる大半は治療する必要のないがんもどきの方を取っただけの無駄な治療と言い放った医学界の異端児が、特に一般の読者を意識して記載したのがこの本です。

私自身は、著者が乳がん治療で論争を起こした時から知っているので、だいぶ古い読者になるかも知れません。

私自身、自然科学の細胞を扱う研究をしたことがあったこともあり、治療成績が変わらないのに患者の負担の大きい手術を選択するのは非合理と考えた方なので、著者の考え方には興味を持っていました。
その後の論争の経緯を断片的にですが見る限り、著者の考えが主流になることはなく、相変わらずエキセントリックな医学者の位置づけにいるのではないでしょうか。

しかしながら本書にあるように転移した(する)がんがほとんど助からないのはよく知られていますし、それを本当のがんとするならば、確かに手術などして身体を弱らせるよりは、体力を温存した方が残りの人生を数年の単位で過ごすことができそうです。
そう考えると、本書は感情のQOLを優先した治療方針を持つ医師のがんに対する取組が記載されていると考えるとしっくりくるかも知れません。

がんの積極的な加療もがん撲滅の医学的な見地からは必要なことなので、手術や抗がん剤治療も医学の進歩の観点からはあってしかるべきだと思います。
ただし、そこに医師や医学界の都合が入るのはおかしく、正確な情報に基づき、患者のなっとくのもとで治療が行われる必要があるのではないでしょうか。

そう捉え直すと著者の論述が、エキセントリックなものでないことがわかります。

近藤誠「近藤先生、「がんは放置」で本当にいいんですか?」光文社新書
定価 740円+消費税


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【書評】 統計学が最強の学問である:西内啓 [読書]

最近はあまり聞かなくなったような気もしますが「ビッグデータ」がこれからの社会を開くというような言説があります。
たしかに大量の詳細なデータを分析することで見えてくることはあるでしょう。
個々人の消費行動、例えば「いつ」「どこで」「何を買ったか」のデータから消費行動を類型化し、マーケティングに利用することはできるように思います。

しかし、今例示したようなことはビッグデータでなければ、分析できないでしょうか?
そんなことはない。

というのが本書です。
適切に計画されたランダムサンプリング実験によって、ビッグデータを使うよりも安価に、しかも十分な精度を持って必要な答えを得ることができるのです。

要するに、まずは統計って何か?何ができるのか?をわかりやすく書いてくれていると思ってください。
私のような企業人はもちろんですが、政府統計をはじめ私たちの周りには統計があふれています。

統計を正しく理解し、使うための良書です。

西内啓「統計学が最強の学問である」ダイヤモンド社
定価 1600円+消費税


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